■ Biogon 4,5/21


表記:Biogon 1:4,5 f=21mm
最短撮影距離:0,9m
最小絞り:22
マウント:外爪バヨネット
構成:5群8枚
製造・年代:Carl Zeiss, 1954
フィルタ径:A42/S40,5x0,5
重量:260g
特記事項:コーティング
 ハリー・キャラハンが愛した超広角レンズ、と書けばもう大概お馴染みの紹介になってしまうのが21ミリビオゴンで、そちこちの雑誌に色々と書かれてきているからわたくしとしては他に何か書くこともない。誰でも知っていることを書くなら、戦後ヴィルト社に移っていたベルテレがツァイスの依頼で、最近自分の設計したアビオゴンをもとに作り上げたというのがこれだ。この6×6判用である38ミリビオゴンは同時期ハッセルブラードSWAに固定装着されて以来、今日までSW系やアルパ用に供給され続けている。
 とにかく伝説的なレンズだ。しかし、伝説的と云われるものにはすべて眉に唾して向き合ったほうが良い。このビオゴンも戦後のコンタックス用広角レンズと同じく、絞りを設定しにくい、フードを付けにくい、そもそも繰り出しにくい、などという欠点を有つ(鏡胴の造りが同じなのだから当たり前だ)。四隅だって光量は落ちるし像も甘い。でもそれは文字通り重箱の隅を突き回すの類いであって、実のところそんなことはどうだっていいのだ。現代レンズに匹敵する(と書きながらわたくしほとんど現代レンズを使ったことがない。詐欺か?)シャープさとクールさには瞠目すべきものがあるし、リバーサルで撮ったときの色の乗り方には他のコンタックスレンズとは違った清冽さが見受けられる。いったい、その後50年で近接撮影ができるようになった以外にどれほどの進歩があったというのだろう。実際のところ、近頃モノクロフィルムばかり通しているわたくしも、なぜだかこのレンズを使うときだけカラーフィルム(ポジにしろネガにしろ)も使ってみたくなるくらいに、色乗りは美しい。
 なお、ファインダーは単体だと割高なので、できればセットになったものを探すと良い。もちろん、純正でなくとも大した問題ではない。最近はアベノンやコシナなどからこの種の単体ファインダーが色々出ていて重宝する。それからベッサR2Cに装着するときは後玉の保護カバーを外す必要がある。そうまでして最新式のカメラで使う理由もないとは思うのだが。あ、アンダーパーフォレーションが出ないという利点はあるか。

2004 Tsukiji, Tokyo F5,6 ILFORD DELTA 400 PROFESSIONAL


Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi inserted by FC2 system