■ BK 2,8/3,5cm P


表記:БК 1:2,8 F=3,5CM П
最短撮影距離:0,9m
最小絞り:22
マウント:外爪バヨネット
構成:4群6枚
製造・年代:KMZ, 1948
フィルタ径:A42/S40,5x0,5
重量:000g
特記事項:Pコーティング
 ツァイス・イエナの指導によりクラスノゴルスクで生産されたビオゴン3,5cmのソ連版、その初期型。あるいはイエナ製の部材を使って、銘板だけソ連版に代えたものとも云われる。のちにユピテル-12として大量生産されるのは周知の通り。コーティングを施されたことにより、だいぶヌケは良くなっている、と思う。このコーティングは恐らくツァイスのTコーティングと同等で、濃いブルーの仕上がりになっている。ユピテル銘になってだいぶ経つと、アンバー系のコーティングに変わる。
 初期の鏡胴の造りはシリアル270万台以降のイエナ製ビオゴンと同じで、戦前のビオゴンに比べるとのっぺりとして重厚さに欠けるし、一部では精度にも欠けると云われている。もちろん後玉は例によって大きく、戦後のコンタックスaシリーズには装着できないが、40年以上に亘って生産され続けたキエフシリーズに問題なく適合するし、キエフ5にも装着可能だ。1970年代以降は黒色鏡胴となって見た目の雰囲気もだいぶ変わり、後玉の処理はかなり大雑把になる。
 BK銘のレンズは希少価値も伴って市価は高いが、それでも戦後型ビオゴンよりは相当安い。ユピテル銘ともなれば1万円前後で手に入る。コーティングを除けばこれと云った差異はないものと思われるので、実用向きにはもちろん、ユピテル-12のほうが良い。コンタックス用の35ミリレンズの中では、コストパフォーマンスにもっとも優れた玉だろう。LTM版もあり、愛用者は結構多い。


2003 Kamakura, Kanagawa F4 Tri X


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