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Orthometar 4,5/35
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表記:Orthometar 1:4,5 f=3,5cm |
最短撮影距離:0,9m |
最小絞り:22 |
マウント:外爪バヨネット |
構成:4群6枚 |
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1938 |
フィルタ径:A42/S40,5x0,5 |
重量:215g |
特記事項:なし |
コンタックスレンズシステムには長らく広角レンズがなく(テッサー2,8サンチがあったが当時としては実用的とは云い難い)、1936年にようやく登場したビオゴン3,5サンチは、カメラ本体が買えるほどに高価だった。そこでその廉価版として企図されたというのが、大判レンズとしてはよく知られたヴィリー・メルテのオルトメターだ。尤もこの廉価版という位置づけがどれだけ経緯を正しく説明しているのかは判らない。なにしろカタログ上はそれほど安くなかったのだ。当時ライカやコンタックスと云った小型カメラを買える人々は大概がお大尽だったから、なにもわざわざ少しばかり安くて暗いレンズを購う必要はない。そのせいで生産数は僅かに1.700本内外、ビオゴンの6分の1にも満たないために中古市場では稀少である。
明るさこそビオゴンより1段半暗いものの、結像性能は遜色ない。中心部のシャープネスは意外に高く、通常のトリミングを前提に考えると周辺の流れは大した問題ではない。開放では若干厳しいが、F5,6から8を常用としている分には充分実用的なレンズだ。
エレメントが2,8サンチのテッサーと並んで極めて小さいためか、今市場に出回っている個体の多くが曇りを生じており、また先述した理由で生産数も少ないために、良好な状態のオルトメターは入手しづらいのが欠点だが、コレクター以外にはあまり関係のない話だろう。コンタックスでふつうに35ミリ玉を使うなら、傑出したビオゴンかプラナーがあれば良いのだから。
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2001 Tsukishima, Tokyo F8 TRI X |
Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi