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Planar 3,5/35
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表記:Planar 1:3,5 f=35mm |
最短撮影距離:0,9m |
最小絞り:22 |
マウント:外爪バヨネット |
構成:4群5枚 |
製造・年代:Carl Zeiss, 1954 |
フィルタ径:A42/S40,5x0,5 |
重量:240g |
特記事項:コーティング |
ルドルフがプラナーを設計してから暫くの間、ダブルガウスタイプの優秀さは界面反射の悪影響を取り除くことができずに十分に発揮される機会がなかった。20世紀の前半はテッサーやゾナーと云った、クックのトリプレットタイプの系列が一世を風靡していたのだが、コーティング技術の実用化とダブルガウスタイプの対称性を崩すことの発見により、プラナーにも陽のあたる時代がやってきた。とは云っても、プラナーが黄金時代を迎えるのはローライフレックスFやコンタレックス用プラナーからで、コンタックス用プラナーはその先触れである。
鏡胴はコンパクトで戦前と比べても美しく頑丈な仕上げであるが、いかんせん、機能性に欠けるのは否めない。真正面から覗き込まなくても絞りを設定できるのは確かに改良点なのかもしれないが、それでも気持ち程度に良くなったと云えるかどうかというレベルであって、相変わらず面倒なことは使ってみるとすぐに判る。あの戦前の広角コンタックスレンズに特有だったすり鉢状の造形もどこかに消えてしまい、なんとも味気ない姿になってしまった。たぶん、このレンズが見た目に映えるのは戦後のコンタックスに装着した時なのだろうが、そのa型コンタックス自体にもはや造形美が感じられない以上、どのみち大して変わり映えはしないような気もする。
しかし、味気ないのは姿だけだ。その写りはビオゴンの廉価版と云う位置づけを疑うに十分なものである。もとより、未だ戦後版のビオゴンを使ったことがないので比較のしようもないのだが、ひとの上がりを見る限りむしろプラナーのほうが優れているのではないかと思うこともある。もちろん天下のツァイスのことだから、安かろう悪かろうこともない──はずだ。
数が少ないのか市場価格は高いほうであり、フィート表記が圧倒的に多い(メートル版を見たことがない)。
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2004 Urayasu, Chiba F5,6 ILFORD DELTA 400 PROFESSIONAL |
Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi