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Tele-Tessar K 6,3/180
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表記:Tele-Tessar K 1:6,3 f=18cm |
最短撮影距離:2,6m |
最小絞り:45 |
マウント:外爪バヨネット(旧) |
構成:3群4枚 |
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1933 |
フィルタ径:A42 |
重量:510g |
特記事項:なし |
コンタックスの18サンチレンズと云えば、それはオリンピアゾナーの異称を有つテレゾナー、つまりゾナー2,8/18cmが有名だが、これは米国で420ドル、日本で1,150円もした恠物で、当時はもちろん、現在でもなかなか手に入る代物ではない(ちなみにフェルン・オプイェクティフ8/50cmも同値の420ドルだったが、今では50サンチのほうがずっと高い)。その代わり、というかそれ以前にラインナップされていた18サンチレンズがこのテレテッサーで、とにかく異様な長っ鼻だ。抑も距離計式カメラで18サンチ(正確には179ミリ)なんてレンズを使おうとすること自体が無茶な話で、開放F値6,3という暗さも、クロームコンタックスの距離計精度ギリギリに収まるところに由来する。いや、レンズのほうが先(1933年)だから、このレンズが使える許容範囲内でII型の有効基線長が決定されたのかもしれないし、あるいは全然関係ないのかもしれない。
それにしてもカメラに装着した姿はどうだ。とてもカメラの恰好とは思えない。わたくしはそれでも結構美しいと思っているが、それはグロテスクな美しさであろう。良いのだ。ツァイス・イコンのカメラの美しさとは、竹田氏の言葉を藉りて云えば、中身の凶悪さが外殻を突き破って外に顕れたときの美しさなのだから。
この個体はフロントエレメントのど真ん中に2ミリほどの掻き傷があるのだが、ご覧の通り順光、半逆光ともなんの障碍にもなっていない(ちなみにフードなしの撮影だ)。鏡胴が長いので迷光対策にバッフルが入っており、どうしたことか中近距離だと四隅が蹴られるという、不思議な構造になっている。あるいはトリミングを前提にその辺は無視したと云うことなのか。専用のファインダーはかなり見易いが、視差補正なんて小粋な機構はついていないので、至近距離で撮影するときには半分くらい右に振ってやらないと、被写体の左半分が画面の外に逐いやられてしまう。生産数は2.500本以下。
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2004 Tsukiji, Tokyo F16 TCN |
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2004 Aoumi, Tokyo F22 TCN |
Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi