■ Tessar 2,8/50


表記:Tessar 1:2,8 f=5cm
最短撮影距離:0,9m
最小絞り:22
マウント:内爪バヨネット(旧)
構成:3群4枚
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1933
フィルタ径:A42/S25,5x0,5
重量:125g
特記事項:ニッケルメッキ

表記:Tessar 1:2,8 f=5cm
最短撮影距離:0,9m
最小絞り:22
マウント:内爪バヨネット
構成:3群4枚
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1936
フィルタ径:A42/S25,5x0,5
重量:125g
特記事項:クロームメッキ

 ルドルフはテッサーの明るさを当初のF6,3よりも明るくすることに反対だったと云う。確かにこの頃(1930年代)のニハチテッサーは周辺の流れが目立つが、プリントではトリミングしてしまう範囲のことなので大した問題ではない。ここにはモノクロの作例しか載せていないけれども、コーティングされていない割にはリバーサルで撮っても非常に鮮やかな発色を見せることに驚くことがある。
 鏡胴の造りはF3,5テッサーと同じで、実はサンハンテッサーの絞りも3,5を超えて2,8のところまで開くようになっている。単にレンズの径と刻印が違うだけだ。これは個体差なのか設計上そうなのか知らないが、サンハンテッサーより光線条件には過敏なようだ。どちらが使い易いかは好みの問題なのだが、昔と違って価格に大差ないこの現代、明るさが欲しければゾナーを選べば良いのだから、この2,8のテッサーは人気がない。そして当のツァイスも判っていたのか、戦後のコンタックス用には2,8/5cmのテッサーを復活させることはしなかった。西独ではコンテッサ用に、東独ではSLR用に供給した程度で、その性能が安定してくるのは1950年代後半のコンピュータでリファインされたコンタフレックス用レンズからだった。それでも戦前ではそれなりに高級品と看做されていたようで、スーパーネッテルのアッパーモデルやネタックスには2,8のテッサーが装着されている。事実、生産数は2万6千本前後と、サンハンのテッサーよりも多い。
 よくテッサーはトリプレットの改良にすぎないと難癖をつけるひとがいるが、キングズレークも云ってるように、アナスチグマットからテッサーに至るルドルフの足跡が明らかになっている以上、その見方は間違っている。結果だけを見ればトリプレットの派生に思えるかもしれないが、それはサメとシャチが同じ系統から誕生したと云うようなものだ。


2004 Tsukiji, Tokyo F4 ILFORD DELTA 400 PROFESSIONAL


Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi inserted by FC2 system