■ Tessar 3,5/50


表記:Tessar 1:3,5 f=5cm
最短撮影距離:0,9m
最小絞り:22
マウント:内爪バヨネット(旧)
構成:3群4枚
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1933
フィルタ径:A42/S25,5x0,5
重量:120g
特記事項:ニッケルメッキ
 パウル・ルドルフが生み出して、エルンスト・ヴァンデルスレプとヴィリー・メルテが育て上げた(いい加減聞き飽きた云い回しだ)テッサーの傑作が、このF3,5、通称サンハンテッサーだ。どこの通称かと問われても困るのだが、このサンハン、標準レンズと云うよりも万能レンズと呼ぶに相応しい性能で、通常の撮影はもとより接写(コンタメータを使用する)や引き伸ばしにも活躍した。生憎と専用のマウントを必要とするので引き伸ばしに使ったことはないのだが、ほぼ同様の設計と思われるフェド3,5/50(勿論ライカDIIのコピーカメラについていたレンズで、なぜか絞りの位置はエルマータイプではなくテッサータイプだ)を使ってみたところ、これが意外と良好な結果が得られた。
 モノクロでの実写については、無理のない設計でコーティングのない割には色乗りも抜けも良く、順当な光線条件下ではゾナーよりも使い勝手が良い。さすがは「貴方のカメラの鷹の目」と謳われただけはある、見事なシャープネスとコントラストをみせてくれる。これでも70年前のレンズなのだ。ちなみにコンタックスI型用のニッケルタイプ(刻印の違いで何種類かが知られている)と、II型用のクロームタイプとでは沈胴量が若干異なる。シャッターハウジングに変更が加わったせいだが、それ以前にI型とII型とではマウントが微妙に異なるので互換性はないと思って良い。
 戦後イエナ製のサンハンテッサーは絞り環のデザインが変わっただけで他は戦前と同じものと見られ、片や西独製のほうはがっしりした固定鏡胴に変わっている。生産数は戦前で2万本未満。


2004 Tsukiji, Tokyo F8 ILFORD DELTA 400 PROFESSIONAL


Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi inserted by FC2 system