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Tessar 8/28
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表記:Tessar 1:8 f=2,8cm |
最短撮影距離:3ft. |
最小絞り:45 |
マウント:外爪バヨネット |
構成:3群4枚 |
製造・年代:Carl Zeiss Jena, 1936 |
フィルタ径:A42/S40,5x0,5 |
重量:120g |
特記事項:距離計非連動 |
1933年、つまりコンタックスのデビューに1年遅れて登場したレンズであり、当時の小型カメラ(というのはライカ判のカメラを意味する)のレンズとしては超広角レンズに分類される。そうはいっても開放F値が8というのは、実用というより見栄のためだけにラインナップされたのではないかと勘繰りたくもなってくる暗さであって、当のツァイスが実用にはF11以上に絞るよう推奨していたというのだから、当時の感材を考えてみるといよいよそのレゾンデートルが奈辺にあったのか疑われる。ただし、今の世にこのレンズを使うとなればその辺りは大した問題ではないだろう。いわゆるレンズ付きフィルムのレンズのF値がだいたい11から16の間にあることを考えると、ISO400フィルムを入れてスナップするにはちょうどいい。
名前の通り構成は3群4枚のテッサーそのもので、これで28ミリを作るんだから35ミリだってできそうなものを(日本光学やライツは実際作った)、そこはツァイスの意地でビオゴンだとかヘラーだとかいう怪物を誕生させたのだが、28ミリのほうは後にも先にもこの1本だけだった。距離計には連動せず、ただヘリコイドがついてるだけだから大変に薄い。エレメントもひどく小さいから傷のあるものはそう多くはないが、とにかく曇っていることが多い。良好な個体が見つかれば意外とちゃんと写るレンズだというのが判る。コントラストは低いがややエッジを強調する傾向にあって、見た目のシャープネスはそれなりにある。周辺光量の落ちも気になるほどではない。難点は誰もが指摘しているように被写界深度目盛がないことで、目測レンズのくせにこれがないのは正直厄介だ。もっとも、絞りF11で2,2m(7フィート強)に設定すれば被写界深度はクッツ氏の冗談のようにイエナからドレスデンにまで達するから、それとて大した問題ではないのかもしれない。
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2004 Tsukiji, Tokyo F11 ILFORD DELTA 400 PROFESSIONAL |
Photo and Text (C)2004 Yoshitane Takanashi