● RF機の測距限度および各種焦点距離のレンズを使用する際の最低F値など


fig.1

fig.2
距離計の原理は三角測量法に準じ、観察点2点と被写体が構成する三角形の角度から、被写体までの距離を測るものである。すなわち、基線の右端と被写体を結ぶ直線と、基線とが成す角度をθとし、基線長をLとすると、被写体までの距離dは、

・d=L/tanθ

実際には距離計連動式のカメラ(レンジファインダー機と呼称する)では、基線の右端の旋回ミラーや回転プリズムなどで被写体の映像を左端に送って、視軸から入った被写体の映像と重ね合わせ、両者のずれをなくすようにミラーなどを操作すると、レンズが連動して正しくピントを結ぶようにレンズまたはヘリコイド等を繰り出している。現今のオートフォーカス(AF)機も、可視光をもとにした目視手動操作の代わりに赤外線反射の位相を利用するだけで、その測距原理は同じである。
Leicaに代表されるRF機の測距機構の概念図は右図fig.1の通りである。
ただし、ビューファインダー(左)から見える像と、測距窓(右)から入ってくる像とのずれが、肉眼で判るかどうかは、被写体までの距離に関わりなく、右図∠θの大きさに依存する。すなわち、目視での判別能力(分解能力)は通常1'(=1/60度)とされ、∠θがこれより小さいと、ずれているのかどうかは判らない。そこで、∠θ=1'のときの距離dを測距限度とするのだが、ファインダーの見え方や観察者の視力、被写体の具合などによってずれの見え方にばらつきがあるため、安全率をかけて1.5'から2'を目安とする。
また、測距の基礎となる基線長は、ファインダー視野が肉眼と同じ(等倍)であればそのまま利用できるが、多くのRF機ではファインダー視野を縮小または拡大しているので、これにファインダー倍率(M)をかけて有効基線長(LM)とする。
これで、実質的な測距限界距離dが、以下のように求められる。(略図は右図fig.2)

・d=LM/tanθ

一方、レンズにはその焦点距離とF値に応じた、過焦点距離という性能がある。詳しくは被写界深度の説明を参照していただくとして、要するにこれは、無限遠が被写界深度に収まる最短の距離のことで、最低限この距離までは測距できないことには、ピントを外す危険性がある。なんとなれば、過焦点距離よりも遠くにピントを合わせる場合、被写界深度の遠点は常に無限遠、近点は過焦点距離の半分から限りなく過焦点距離に近づいていくわけで、少なくとも過焦点距離まで正確に測距できれば、目標からピントを外すことはない。
そこで、先の測距限界距離dが過焦点距離をカバーしていれば、その距離計を使ったRF機で当該レンズ(のF値以上)が問題なく利用できると見なしうる。

次は有効基線長LM、分解能力θ、レンズ焦点距離FLから、利用可能な最低F値Fnを求める式であり、下のリンク先はこれを計算するものである。(なお、許容ぼけは1/30mmとしている)

・Fn=30×FL2×tanθ/LM


◆演算:RF機の有効基線長と使用レンズ焦点距離から、測距限度と最低F値を求める

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