レンズによって結像した映像は、ピントの合わせた平面だけでなく、その前後に亙っても、ピントが合っているようにみえる領域がある。この前後の幅を被写界深度といい、手前に浅く、奥に深い。
絞りを開くほど被写界深度は浅くなり、絞り込むほど深くなる。また、焦点距離が短い(広角系)ほど深く、長い(望遠系)ほど浅い傾向がある。 |
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被写界深度の幅は、次のようにして求められる。
・近点(手前への深さ)=(過焦点距離×合焦点距離)/(過焦点距離+合焦点距離)
・遠点(奥側への深さ)=(過焦点距離×合焦点距離)/(過焦点距離−合焦点距離)
過焦点距離とは、この距離にピントを合わせた場合、無限遠から過焦点距離の1/2までの範囲がほぼシャープに写って見える距離を意味する。レンズの焦点距離が長い(望遠)ほど、また、絞りを開けるほど、この距離は増大する。
過焦点距離はまた、無限遠が被写界深度に入る最短の距離でもあり、ピントを無限遠に合わせたときの近点でもある。 |
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過焦点距離は、以下の式によって導かれる。
・過焦点距離=焦点距離2/(許容ぼけ×絞りF値)
許容ぼけとは、文字どおり「ぼけ」(錯乱円)の許容度で、これ以下のぼけは人間が通常の観察距離において肉眼視で弁別できないか、ぼけと見なされないものとされる。ライカ判(35mmフィルムの画像。36×24mm)の場合、引き伸ばしを考慮した上でふつう、1/30mmとされることが多い。
○おまけ
被写体を近点ぎりぎりに入るようにしたい場合、絞りが決まっていれば、どの距離にピントを合わせればいいのか、計算上求めることは可能である。
ただし、予定する近点が過焦点距離の半分以上になってしまったときは、この計算に意味はなくなる。
・合焦点距離=(過焦点距離×近点)/(過焦点距離−近点)
◆演算:被写界深度を計算する
おまけの演算(近点からピントを合わせる距離を計算する)
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(C)1999 Yoshitane Takanashi