◆ How to use Contax II3/4

構える

▲構え方(取説より)
▲構え方(外爪レンズの場合)

 いくら露出が正確でも、構図が優れて感性豊かなものであっても、レリーズの瞬間に手ぶれを起こすようでは、話にならない。手ぶれは多く、正しくカメラを保持していないことに原因する。
 戦前のコンタックスシリーズは、独特の構え方を要求する。左手の置き方については右手ほどの注意を要しない。がっちりボディを握るか、一眼レフのようにレンズ鏡胴に親指と人差し指を添えて、下から包み込むように持てばいい。問題は右手だ。親指をボディの背に、人差し指(の腹)をレリーズボタンに、そして中指をフォーカシングギアに添える。薬指と小指は大きく曲げて、ちょうど薬指の第2関節の背が、距離計副対物窓のハウジングの真下に当たるくらいにして、ボディを掴む。セルフタイマーレバーには恐らく第1関節が触れることになろう。これは写真を見たほうが判り易い。この持ち方は非常に重要で、即座にこのポジションにすべての指を置けるよう、繰り返し練習することだ。さもないと、距離計窓を塞いでしまうことになる。


ピント合わせ

▲ファインダー見え方(ピントずれ)
▲ファインダー見え方(合焦)

 ピント合わせは、先に右手の中指をおいたフォーカシングギアを回して行う。外爪を使わないレンズ(いわゆる標準レンズ。テッサーとゾナーの5cm)はこの方法によってのみ、フォーカシングする。外爪レンズ(広角ビオゴンや望遠ゾナーなど)の場合は、今日のレンズのように、レンズ鏡胴を回してフォーカシングする。微妙な調整をギアでやることもできるが、概して重い。
 ファインダーを覗くと、中央にセピアがかった長方形のエリアが見える。このエリア内の画像は、恐らく二重になって見えるはずである。フォーカシングギアあるいは鏡胴を、カメラの後ろから見て反時計方向に回すと、二重像のうち一方が右へ流れてゆく。この2つの像が一致したときが合焦点であり、レンズが正しい位置に繰り出されていることになる。これが距離計連動式カメラの特徴であり、この合焦方法を二重像合致式という。一眼レフカメラでよく使われている、フォーカシングスクリーン中央部のスプリットイメージは、多く上下像合致方式である(斜めや水平方向に分割されるものもあるが)。注意すべきは、二重像をエリアの中央で合わせることである。左右の隅や、上下の端で合致していても、レンズは必要なだけ繰り出されていない。あくまでカメラを被写体に正対させ、正しく中央部の像でピントを合わせることである。
 コンタックスIIのファインダーは、標準5cmレンズの画角しかカバーしていない。それも正確ではなく、正面を見つめたときと、はじのほうを見やったときでは、視野が変わってしまう。被写体の像がはっきり見えるときは、フレームはぼやけて見えているはずである。フレームや中央の距離計像に目のピントを合わせると、今度は被写体の全体像がぼやけるはずである。これはライカM型と違って、ファインダー光学系上、致し方のないことなのである。一眼レフのようにかっちりしたフレーミングは、事実上不可能だと思ったほうがよい。
 標準以外のレンズを使用する際は、外付けのビューファインダーを用意する。これはもちろん、フレーミングをするだけの目的に使うのであって、ピント合わせの用は為さない。単焦点では21mm、2,8cm、3,5cm、18cmのファインダーが存在するが、滅多に手に入らない上に値段も高い。4(4,25)cm、30cm、50cmのファインダーは、巡り会うこと自体が奇蹟である。むしろターレットファインダーのほうが入手しやすいし、割合に便利である。パララックスを気にしなければ、これらは純正である必要はなく、ライカ用でもニコン用でも大いに結構だ。もっとも、この3社のなかではツァイス製が一番安い。更に安いのは、ソ連製のコピーものである。なおまた、8,5cmと13,5cm共用の特殊なファインダーアタッチメントがあり、これはつまり視野マスクであって、単純ながら極めて使いやすい。


レリーズ、セルフタイマー

▲セルフタイマー(1:セット/2:作動)

 レリーズはゆっくりと、衝撃を予期して確実に行う。コンタックスのシャッターは金属式でかつ上下走行であるから、幕が走ったときの衝撃は割に大きい。とりわけ1/250以上の高速域では、カシャ、というよりも、ストッ、と落ちる。逆に低速域では、コンタックス特有の「喘鳴音」とともにゆっくり幕が落ちるのが判るだろう。先に構え方のところでも書いたが、レリーズボタンは指先ではなく、指の腹か関節部で押すようにする。これも慣れが必要となろう。低速撮影やバルブ撮影では、ケーブルレリーズを使用する。現在でも市販されている、普通のねじ込み式レリーズケーブルがそのまま使える。
 セルフタイマーの実用化は、コンタックスIIの前年に発売された、二眼レフのコンタフレックスが史上最初と云われる。その真偽はさておき、コンタックスIIのセルフタイマーは、極めて簡単な構造から成っている。チャージはレバーを左に倒すだけだ。作動させるときは、シャッターチャージ後、セルフタイマーレバーで隠れていた丸いボタン(矢印が刻まれている)を右にずらす。これでぜんまいのほどける音とともに、レバーが徐々に元へ戻ってゆく。タイムラグは大体12秒で、途中で止めたい場合はボタンを左にずらす。再チャージはレバーをまた左へ倒せばよい。この丸いボタンを操作しない限り、セルフタイマー(のぜんまい)はチャージされたままである。よくあるように、レリーズボタンを押してもセルフタイマーは作動しない。間違ってチャージしてしまったときは、シャッターチャージの前に作動ボタンをずらして、タイマーだけを作動させればよい。
 なお、シャッター速度をバルブに合わせ、セルフタイマーを使用すると、1秒の露出となる。どうってことはない機能だが、かつてはそれなりの用を為したのだろうか?

撮影後

▲巻き戻し

 撮影が終わったらフィルムを巻き戻す。これが恐らく一番面倒な作業である。底の巻き戻しボタンを押しながら、巻き戻しノブを矢印の方向にひたすら回す。現代の機械式カメラとも、あるいはライカやニコンSシリーズとも違って、巻き戻し中はボタンを押さえ続けなければならないのが苦行である。残念ながらカウンタは巻き戻しに連動しないので、抵抗を感じるまでひたすらノブを回す。強い抵抗を感じるか、スプールからフィルム先端が外れる感触があったら、巻き戻しは完了である。ボタンを押す手を緩めると、途端に強い抵抗を感じて、そのまま無理にノブを回すと、パーフォレーションを破ることになるので、十分注意すること。また、装填時にフィルム先端をどうスプールに噛ませたかは、覚えておくべきであろう。
 巻き戻しが終わったら、最初の手順通りに裏蓋を外し、パトローネを取り出す。必要であればスプールごと取り出す。万が一パーフォレーションを破損したか、その惧れがある場合は、フィルム室やスプロケット、フィルムゲート等に切れ端が残っていないか点検し、掃除しておく。


[ BACK ] 3/4 [ NEXT ]
[ 1.フィルム装填 | 2.絞り/速度の設定 | 3.構え/ピント/レリーズとセルフタイマー/撮影後 | 4.交換レンズ ]

FABRICA-indexへ戻る


inserted by FC2 system