Contax II 距離計の調整


距離計調整のもすこし簡単な手段から込み入った手だてまで。


▲fig.1:マウント前面
▲fig.2:フォーカシングギア近辺
(マウントを外したあと)

A)マウントを外して調整する方法:

1)まずは前板を外す

2)次にレンズマウントを外す。フォーカシングギア(fig.1の22)を予め外しておくと作業しやすいが、連動部分のシャフト(fig.2の32)が内側に落ち込むので注意。
マウントユニット(fig.1の34)は、fig.1の33のネジ4本を外せば、ボディシェルから簡単に外れる。このとき、ユニットとシェルのあいだ、ネジ部にスペーサー(fig.2の35)が何枚か挟んであることがあるので、注意して取り外す。組み上げる際にスペーサーを正しくセットしないと、精確なフランジバックを得られないので、その位置と数とを覚えておく。

3)無限遠を合わせる。月か恒星(惑星でも可)をターゲットとし、近距離から合わせていって、二重像が重なったところが(距離計の)無限遠が出ている状態である。一致点から少しでも近距離側に動かせば、即座に二重像が分離するくらいが望ましい。地上物をターゲットとするときは、できるだけ遠距離のもの、1、2km程度ではなく、十数km離れたものを選ぶ。
なお、フォーカシングギアを外していた場合は、組み付けておくと作業しやすい。

4)無限遠を出したら、そのときの連動ギア(fig.2の36)の判り易い位置にケガキを入れておく。fig.2では上のはじに合わせてケガキを入れてある(fig.2の青丸部分)。

5)マウントを取り付ける。マウントヘリコイドは無限遠に固定し(インフロックがあるので簡単)、ボディ側の連動ギア(fig.2の36)が回転しないように注意して取り付ける。また、正しい数のスペーサーが正しい位置にセットされているかどうかにも注意する。

6)マウントを組み付けたら、無限遠〜近距離で、距離計とヘリコイド繰り出しとがきちんと連動し合っているかどうかチェックする。



▲fig.3:旋回プリズム保護カバー(21)を外した状態

B)旋回プリズムユニットの位置で調整する方法:

1)前板を外す

2)距離計副対物窓の下に、旋回プリズムユニットをボディにとめているネジ2本(fig.3の23)が見えるので、これを緩めて、ユニット自体を左右にずらしながら調整する。向かって左へずらすと距離計像は無限遠方向へ、右にずらすと近距離方向へずれる。
なお、ネジを締める際に、ユニットが向かって右側へずれることがあるので注意。



▲fig.4:距離計副対物窓の周囲
▲fig.5:旋回プリズムユニット
▲fig.6:旋回プリズムユニット下面。
要するに27と29で28を挟んでいる。

C)旋回プリズムユニット自体を調整する方法:

1)前板トップカバーを外す。両方とも外しておかないと、作業できない。旋回プリズムの保護カバー(fig.4の21)をとめているネジが、それぞれのカバーで覆われているからだ。
このカバーを外す(fig.4の赤矢印のネジ3本を外す)と、旋回プリズムユニットが見える。

2)ユニットを止めている下側のネジ2本(fig.3の23)を外し、ユニットを取り出す。これは注意深くやらないと、ユニット(特に連動レバー)やプリズムロッド等を破損する懼れがある。あるいは、シャッターユニットとプリズムロッドを予め外してから作業する手もあるが、別の機会としてここでは割愛。
機構構造をおさらいすると、22のフォーカシングギアを回すと、カムにより27のレバーが押されて、25の内側プリズムが左右に旋回する。fig.5で右へ動けば無限遠へ、左に動けば近距離へ、ということになる。青矢印は実際にレバーが動いたときの、距離の出る方向を示している。25のプリズムは28の支持板に固定されており、27と28は26のネジで固定されるようになっているが、取り付け角度を変えることができる。24の外側プリズムは一番下の支持板(29)に固定され、その支持板と27とは、常に無限遠方向へひっぱるようにバネ(30)で連結されている(fig.6)。

3)26のネジを緩めて、27と28の取り付け角度を調整する。ほんの僅かな角度のずれでも大きく変わるので、ずらしてはユニットをボディに差し込み距離を測る、の繰り返しになる。最初にユニットを取り出した段階で、(26のネジを緩める前に)ケガキを入れておくのが無難。

4)おおまかに合ったところでユニットをボディに仮止めし、ユニット自体の左右位置を変えながら最終的な調整を行う。

実際には、以上3つの手段をそれぞれ組み合わせることになると思われる。Cの方法は最後の手段に近い。



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